置き忘れ防止装置
本事例のねらい
本事例で作成する計測・制御システムである「置き忘れ防止(仮称)システム」は、無線機能とスピーカーで構成されている。2台のmicro:bitを使い、一つを手元に置き、もう一つを置き忘れを防止したい「物」に取り付け、無線機能によって2台のmicro:bit間の信号強度を定期的に計測する。信号強度がしきい値以下になることで、micro:bitを取り付けた「物」との距離が一定以上離れた(置き忘れそうになっている)ことを認識して、スピーカーを制御する。これら一連の流れがプログラムによって処理されることを知ることができる。
また、簡単なプログラムを作成することで、情報処理の手順には、順次、分岐、反復があることを知ることができる。

対応する項目と時数
対応する項目:
D 情報に関する技術
(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。
ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。
時数:
上記の対応する項目(D-(3)-ア、イ)のうち3時間程度を想定して、下表の時限4~6を中心とした学習内容である。
| 時限 | 学習内容 |
| 1 | 身の回りにある計測・制御システムを調べ、基本的な構成、プログラムの役割を知る。 |
| 2 | 身の回りにある問題を発見して、計測・制御のプログラミングで解決できそうな課題を設定する。(電車やバスに、傘やカバンを置き忘れたり、置き忘れそうになったことがある。防止できないだろうか。) |
| 3 | 課題を解決するための計測・制御システムを構想する。(何らかの方法で「物」との距離を計測して、忘れそうになった時、自動で教えてくれないだろうか) |
| 4 | 計測・制御システムのプログラムを制作する。(本時) |
| 5 | 計測・制御システムのプログラムを制作する。(本時) |
| 6 | 制作したシステムの動作確認、デバッグをする。(本時) |
| 7 | 制作したシステムによる問題解決を振り返る、観点に基づいて評価する。 |
| 8 | 予備 |
準備物
本事例では、以下のものを使用する。
| 項番 | 名称 | 備考 |
| 1 | パソコン | インターネットに接続され、検索サイトが利用できるもの |
| 2 | micro:bit(2台) | V1.3B、V1.5、V2に対応 |
| 3 | USBケーブル | パソコンとmicro:bitを接続するもの |
| 4 | アカデミックシリーズ micro:bit用メインボード(赤ボード)/TFW-S-M1 | micro:bit2台分用意する |
| 5 | 巻き尺 | |
| 6 | ワークシート | 当該ページのリンクよりダウンロードして利用可能 |
| 7 | スライド | 当該ページのリンクよりダウンロードして利用可能 |
学習の流れ
10ステップに分割して、少しずつステップアップするように学習を進める。色付きの部分(項番3・4・7・9)はプログラミングのステップである。
| 項番 | 学習内容 |
| 1 | micro:bitにあらかじめ搭載されているの無線機能について調べる。 |
| 2 | MakeCode for micro:bitで無線機能を確認する。 |
| 3 | 無線機能でメッセージを送受信するプログラムを作る。 |
| 4 | 呼んだらリモコン返事して!装置を作る。※手順3で作成したプログラムを修正(改変)する。 |
| 5 | 2台のmicro:bitの間を、少しずつ離しながら、どのくらいの距離まで反応するか確認する。 |
| 6 | 距離が離れると反応がなくなるのはなぜか考える。 |
| 7 | 信号の強度を計測するプログラムを作る。※手順4で作成したプログラムを修正(改変)する。 |
| 8 | 信号の強度と距離の関係を、実験で確認する。 |
| 9 | 置き忘れ防止装置を作る。 |
| 10 | さらなる問題点を提起して、解決策を考える。 |
ワークシート
学習の流れを円滑にするワークシートを使用する。※上部リンクよりダウンロード可能。

学習の流れ(解説)
授業を組み立てる際の参考となるように、各ステップのねらい・子どもの学習活動・指導上の留意点・評価の視点を記す。
| 時間配分の目安 | 対応するワークシートの項番 | ねらい | 子どもの学習活動と思考(☆) | 指導上の留意点と子どもへの支援(☆) | 評価の視点 |
| 10分 | 1 | 1.キーワードから適切な方法で調べる力を身につける。
※ここでは、インターネットの検索サイトを使った方法を想定している。 |
1.検索サイトを使って調べる。
2.図書館で調べる。 3.配布した冊子で調べる。 ☆無線とBluetoothがあるんだね。 ※Wi-Fiはないのかな? |
1.検索キーワードを伝える。
☆micro:bit、無線など 2.参考にした資料の名称やサイト名(URL)などを、参考資料・引用元として明示にすることを伝える。 ☆具体的なサイト名(URL)を伝える。 |
適切な方法で調査することができる。
参考資料・引用元を明示している。 |
| 10分 | 2 | 1.MakeCode for micro:bitで使える主な無線機能のブロックを知る。 | 1.MakeCode for micro:bitを使って、「無線」カテゴリーを確認する。
2.無線通信の相手を決めるブロックを確認する。 ☆同時に複数のmicro:bitと送受信できるんだね。 3.メッセージを送信するブロックを確認する。 ☆送信するブロックには、送信方法が異なる種類があるんだね。 4.メッセージを受信するブロックを確認する。 ☆受信するブロックには、受信方法が異なる種類があるんだね。 |
1.micro:bitの無線機能を使って、メッセージのやりとりをするには、必ず相手を決める(無線グループを指定する)ことが必要であることを伝える。
2.送信・受信するブロックには、方法が異なる種類があり、対になって使用しなければならないことを伝える。 |
無線機能のブロックが適切に使用できるようになる。 |
| プログラミング
15分 |
3 | 1.無線機能を使って、2台のmicro:bit間でメッセージを送受信できるようになる。 | 1.ボタンAを押したときに送信するメッセージを決める。
☆「Hello」にしよう。 ☆自分の名前を送信しよう。 (1台目のプログラミング) 2.MakeCode for micro:bitを使って、ボタンAを押したときに、メッセージ(文字列)を送信するプログラムを作る。 (2台目のプログラミング) 3.MakeCode for micro:bitを使って、メッセージ(文字列)を受信したときに、そのメッセージをLED画面へ表示するプログラムを作る。 (確認) 4.動作を確認する。 |
1.生徒毎(またはグループ毎)に、無線グループを決めて周知する。
2.時間に余裕がある場合は、ボタンB、ボタンA+Bを使ったプログラムを作る。 |
無線グループを正しく指定して、メッセージの送受信ができる。 |
| プログラミング
15分 |
4 | 1.既存のプログラムを改変して、別の機能へ変更することができる。 | 1.どのようにプログラムを改変すればいいか考える。
☆1台目の機能に変更はいらないな。 ☆2台目の機能は「LED画面へ表示する」から「音を鳴らす」へ変更すればいいな。 (1台目) 2.MakeCode for micro:bitを使って、プログラムの改変を行う。 (2台目) 2.MakeCode for micro:bitを使って、プログラムの改変を行う。 (確認) 3.動作を確認する。 |
1.何を作るのか適切に説明する。
☆1台目を手元に置き、2台目をリモコンへ取り付けると想定する。 ☆リモコンを見失ったとき、1台目を操作することで、2台目を見つけることができる機能へ改変する。 2.どうのようにすれば少ない変更点で実装できるかを考えるように促す。 |
既存のプログラムをベースにして、少ない変更点で機能を実装できる。 |
| 5分 | 5 | 1.ある程度、距離が離れると反応しなくなる(通信できなくなる)ことに気づく。 | 1.少しずつ距離を離しながら、反応するかどうか確認する。
☆○メートル以上は反応しないね。 ☆なぜだろう? |
1.環境条件や個体差によって、反応する距離には違いがあることを伝える。 | ある程度離れると反応しなくなる(通信できなくなる)ことを理解する。 |
| 10分 | 6 | 1.無線通信は、電波が伝わることによって通信しているため、電波が届かない、弱くなることで通信できなくなることを知る。 | 1.検索サイトを使って調べる。
2.話し合い。 |
電波によって伝わる信号の減衰であることを説明する。
☆(1)電波によって、信号を一方のアンテナから送出して、他方のアンテナで取り出すことができる。 ☆(2)電波によって伝わる信号は、距離が離れると減衰する。 ☆(3)減衰が大きくなると、アンテナから信号が取り出せなくなる。 |
反応がなくなる(通信できなくなる)理由が、電波によって伝わる信号の減衰であることを理解する。 |
| プログラミング
10分 |
7 | 1.信号の強度を計測するプログラムを作成する。 | 1.MakeCode for micro:bitを使って、信号の強度を計測するプログラムを作る。
☆信号の強度を表示するブロックをどこに追加すればいいかな? |
1.信号の強度を示すブロックがあることを伝える。
☆「受信したパケットの信号強度」を使用する。 |
適切な場所へブロックを追加することができる。 |
| 5分 | 8 | 1.信号の強度と距離の関係を知る。 | 1.少しずつ距離を離しながら、信号の強度を確認する。
☆離れると、弱くなっていくね。 |
1.環境条件や個体差によって、表示される信号強度には違いがあることを伝える。 | 信号の強度と距離の関係を理解する。 |
| プログラミング
20分 |
9 | 1.信号の強度を使って、置き忘れ防止装置を設計できる。
2.設計した内容で正しくプログラミングできる。 |
1.どのような機能を実装すれば、置き忘れ防止装置を作ることができるか、机上で考える。
2.考えた内容を元にして、プログラムを作る。 3.正しく動作することを確認する。 |
1.何を作るのか(プログラムの仕様)を考える時間を与える。
☆1台目を手元に置き、2台目を置き忘れを防止したい「物」へ取り付けると想定する。 ☆置き忘れそうになったとき、1台目がそれを伝える。 |
信号の強度を使って、置き忘れ防止装置を設計し、時間内にプログラミングすることができる。 |
| 考察
10分 発表 10分 |
10 | 1.置き忘れ防止装置を作成したが、さらなる問題点を考え、解決策を見つける。 | 1.各自が問題点を提起して、解決策を考える。 | 1.技術的な制約にとらわれることなく、自由な発想で解決策を考えるように指導する。
☆解決策には、ボード上のセンサや外部機器を自由に利用できると仮定する。 2.問題点と解決策を発表する場を設ける。 ☆2名~3名程度発表する。 [例] 置き忘れ防止以外に役立たないか?例えば、迷子防止装置や置き引き防止など。 |
問題点を提起して、解決策を考えることができる。 |
