micro:bit 単元別活用事例集

熱中症の危険度を見える化しよう

計測・制御システムの基本的な構成と、プログラムの役割を理解することを目的として、センサによる温度と湿度の計測、LEDの自動制御を行う。

高齢者などは熱中症が起こる状態に気がつかないときがあるため、その対策として「熱中症の危険度を見える化するシステム」を構築する。

本事例のねらい

本事例で作成する計測・制御システムである「熱中症の危険度を見える化するシステム」は、温度と湿度を計測するセンサと、自由に色が指定できる3つのLEDで構成されている。センサで計測した値(温度と湿度)を元にして、LEDの色を制御することで、一連の情報がプログラムによって処理されることを知ることができる。

また、簡単なプログラムを作成することで、情報処理の手順には、順次、分岐、反復があることを知ることができる。

対応する項目と時数

対応する項目:

D 情報に関する技術

(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。

ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。

イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。

引用元:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_009.pdf

時数:

上記の対応する項目(D-(3)-ア、イ)のうち3時間程度を想定して、下表の時限4~6を中心とした学習内容である。

時限 学習内容
1 身の回りにある計測・制御システムを調べ、基本的な構成、プログラムの役割を知る。
2 身の回りにある問題を発見して、計測・制御のプログラミングで解決できそうな課題を設定する。(高齢者などの熱中症の起こる状態を減らしたい)
3 課題を解決するための計測・制御システムを構想する。(温度と湿度を計測して、熱中症の危険度を見える化できないだろうか)
4 計測・制御システムのプログラムを制作する。(本時)
5 計測・制御システムのプログラムを制作する。(本時)
6 制作したシステムの動作確認、デバッグをする。(本時)
7 制作したシステムによる問題解決を振り返る、観点に基づいて評価する。
8 予備

準備物

本事例では、以下のものを使用する。

項番 名称 備考
1 パソコン インターネットに接続され、検索サイトが利用できるもの
2 micro:bit V1.3B、V1.5、V2に対応
3 USBケーブル パソコンとmicro:bitを接続するもの
4 アカデミックシリーズ micro:bit用メインボード(赤ボード)/TFW-S-M1
5 温湿度計(または温度計、湿度計) 較正済みのものが望ましい
6 ワークシート 当該ページのリンクよりダウンロードして利用可能
7 スライド 当該ページのリンクよりダウンロードして利用可能

 

学習の流れ

8ステップに分割して、少しずつステップアップするように学習を進める。色付きの部分(項番4・6・7)はプログラミングのステップである。

項番 学習内容
1 「日常生活における熱中症予防指針」の温度指標としてのWBGT(湿球黒球温度)を調べる。
2 WBGT値の範囲によって4つの温度基準域があることを知る。
3 実測値(温度と湿度)をもとに、図を使ってWBGT値と温度基準域を求める。
4 センサーで計測した温度と湿度を表示するプログラムを作る。
5 センサーと温湿度計で計測した値を比較する。(オプション)
6 温度と湿度からWBGT値を表示するプログラムを作成する。
※手順4で作成したプログラムを修正(改変)する。
7 WBGT値の範囲(温度基準域)によって、LEDの色を変化させるプログラムを作る。
※手順6で作成したプログラムを修正(改変)する。
8 さらなる問題点を提起して、解決策を考える。

ワークシート

学習の流れを円滑にするワークシートを使用する。※上部リンクよりダウンロード可能。

学習の流れ(解説)

授業を組み立てる際の参考となるように、各ステップのねらい・子どもの学習活動・指導上の留意点・評価の視点を記す。

時間配分の目安

対応するワークシートの項番

ねらい

子どもの学習活動と思考(

指導上の留意点と子どもへの支援(

評価の視点

15分 1 1.キーワードから適切な方法で調べる力を身につける。

 

※ここでは、インターネットの検索サイトを使った方法を想定している。

1.検索サイトを使って調べる。

2.図書館で調べる。

3.配布した冊子で調べる。

☆WBGTは初めて聞いた言葉だ。

☆国際的に規格化されているんだね。

1.検索キーワードを伝える。

☆WBGTなど

2.参考にした資料の名称やサイト名(URL)などを、参考資料・引用元として明示にすることを伝える。

☆具体的なサイト名(URL)を伝える。

適切な方法で調査することができる。

参考資料・引用元を明示している。

5分 2 1.WBGT値によって、4つの温度基準域があることを知る。 1.各自の調査結果を元にして、「日常生活に関する指針」としての温度基準域の範囲を記入する。

☆「安全」はないのかなぁ。

1.「日常生活に関する指針」として「安全」という温度基準域がないことを伝える。25℃未満の温度(気温)においても、生活活動の程度によって危険性があることを伝える。 正しい温度基準域の範囲を知ることができる。
5分 3 1.WBGT値を温度と湿度から求めることができる簡易的な方法があることを知る。

2.温度・湿度の実測値を元にして温度基準域を求めることができる。

1.各場所(教室・運動場・体育館)における温度・湿度を元に、温度基準域を記入する。

☆夏の運動場や体育館は、熱中症の危険度が高いね。

☆表から求めるのは面倒だなぁ。間違えるかもしれないね。

1.教室:温湿度計を使って、生徒の前で実測した値を伝える。

2.運動場・体育館:例えば、夏の日中時における温度・湿度をあらかじめ資料として測定しておき、測定時の条件とともに生徒へ伝える。(例:9月1日14時頃に測定した値)

3.温度と湿度を計測して、図からWBGT値と温度基準域を求める一連の手順を、プログラムで再現することを伝える。

温度・湿度から正しい温度基準域を求めることができる。
プログラミング

25分

4 1.センサによって、温度と湿度が計測できることを知る。

2.フローチャートが作成できる。

3.センサで計測した値を表示するプログラムが作成できる。

4.変数を使ったプログラムを理解する。

1.ボード上のセンサを観察する。

☆センサ小さいね。

☆センサの仕組みはどうなっているんだろう?

2.プログラム(処理)の流れを考えて、フローチャートを作成する。

☆変化する温度や湿度を表示するにはどうすればいいのだろう?

3.MakeCode for micro:bitを使って、指定されたサンプルプログラムファイル(または共有URL)を読み込む。

4.温度、湿度を表示するプログラムを完成させる。

☆センサの値が簡単に表示できるね。

☆正確な値が計測できているのかな?

1.ボード上にあるセンサを紹介する。

☆温度、湿度、気圧を計測できる環境センサであることを紹介する。

2.フローチャートを作成するためのヒントを示す。

☆刻々と変化する温度や湿度を表示するには、どのようにプログラミングすればよいか考える時間を設ける。

☆ヒントとなるキーワードは「繰り返し」であることを伝える。

☆あらかじめセンサで計測した値を、変数に代入するように指示する。

3.あらかじめ拡張機能と変数を組み込んだサンプルプログラムファイル(または共有URL)を利用することでトラブルを減らし、時間短縮を図る。

☆ファイル名(またはURL)を伝える。

センサの役割を知る。

変数に正しく代入できる。

繰り返し処理によって、定期的に温度と湿度を表示できる。

5分 5

(オプション)

1.センサによって性能(精度と確度)に差があることを知る。 1.自席において、温湿度計で計測した値とセンサの値を比較する。

☆同じ値だ。

☆値が異なっている。なぜだろう?

1.センサには、計測できる分解能があり、複数回の計測においてばらつきがある。加えて、真の値に対して、誤差があることを伝える。また、安定した値を計測できるようになるまで、時間がかかるものもある。

2.ばらつきや誤差の小さなセンサは性能が高いと言える。

計測した値には、ばらつきや誤差があることを知る。
プログラミング

15分

6 1.フローチャートが作成できる。

2.温度と湿度を元にして、WBGT値を求めるプログラムが作成できる。

3.関数を使ったプログラムを理解する。

4.目的に合わせて、プログラムを修正(改変)できる。

1.プログラム(処理)の流れを考えて、フローチャートを作成する。

2.手順4で作成したプログラムを修正(改変)して、温度、湿度、WBGT値を表示する。温度と湿度からWBGT値を求める関数を使用する。

☆関数を使えば、簡単にWBGT値を求めることができるね。

☆手順3で求めたWBGT値とほぼ同じ値が表示された。

☆関数の中はどうなっているのだろう?

☆変数にする理由はあるのかな?

1.温度と湿度からWBGT値を求める関数があることを伝える。

☆関数の使い方を説明する。

2.なぜ、温度や湿度を変数に代入しているのか考える時間を設ける。

☆ヒントは、温度や湿度が刻々と変化する値であり、プログラムの実行にも時間がかかることを伝える。

 

関数を使って、WBGT値を表示できる。
プログラミング

30分

 

発表

15分

7 1.フローチャートが作成できる。

2.WBGT値の範囲(温度基準域)によって、LEDの色を変化させるプログラムが作成できる。

3.条件分岐を使ったプログラムを理解する。

4.目的に合わせて、プログラムを修正(改変)できる。

1.プログラム(処理)の流れを考えて、フローチャートを作成する。

2.WBGT値の範囲(温度基準域)によって、点灯するLEDの色を考える。

3.手順6で作成したプログラムを修正(改変)して、LEDを点灯する。

☆注意~危険を表現するには、どんな色がいいかな?

 

 

1.フローチャートを作成するためのヒントを示す。

☆ヒントとなるキーワードは「条件分岐」であることを伝える。

2.なぜ、その色を選んだのか、理由も合わせて考えるように指導する。

3.一般的に、青・緑が安全、黄が注意、橙・赤が危険と感じられるが、特に誘導することなく、各自に考える時間を与える。

☆LEDが3つあるので、それぞれ異なる色を表示してもよいことを伝える。

4.選択した色と理由を発表する場を設ける。

☆3名~5名程度発表する。

[例]

危険:赤・赤・赤

厳重警戒:黄・赤・赤

警戒:黄・黄・赤

注意:黄・黄・黄

自分の考えた色でLEDが点灯するようにプログラミングができる。
考察

15分

 

発表

15分

8 1.熱中症の危険度を見える化するプログラムを作成したが、さらなる問題点を考え、解決策を見つける。 1.各自が問題点を提起して、解決策を考える。 1.技術的な制約にとらわれることなく、自由な発想で解決策を考えるように指導する。

☆解決策には、ボード上のセンサや外部機器を自由に利用できると仮定する。

2.問題点と解決策を発表する場を設ける。

☆3名~5名程度発表する。

[例]

寝ていると気がつかない→赤外線リモコンを使って、エアコンが適温になるように自動操作する、制御スイッチを使って、扇風機を動作させる

視覚障害を持っていると色の変化がわかりにくいかもしれない→色だけでなく音で通知する

ボードのある場所の状態しか判断できない→無線機能を使って、教室や運動場、体育館の状態を知る

 

問題点を提起して、解決策を考えることができる。